専門研修の目標

専門研修後の成果

 専門研修を終えた病理専門医は、生検、手術材料の病理診断、病理解剖といった病理医が行う医療行為に習熟しているだけでなく、病理学的研究の遂行と指導、研究や医療に対する倫理的事項の理解と実践、医療現場での安全管理に対する理解、専門医の社会的立場の理解等についても全般的に幅広い能力を有していることが求められる。

到達目標

 専門研修を終えた病理専門医は、生検、手術材料の病理診断、病理解剖といった病理医が行う医療行為に習熟しているだけでなく、病理学的研究の遂行と指導、研究や医療に対する倫理的事項の理解と実践、医療現場での安全管理に対する理解、専門医の社会的立場の理解等についても全般的に幅広い能力を有していることが求められる。

ⅰ知識、技能、態度の目標内容

参考資料:「専門医研修手帳」p.11~37
「専攻医マニュアル」p.9~「研修すべき知識・技術・疾患名リスト」

ⅱ知識、技能、態度の修練スケジュール

 研修カリキュラムに準拠した専門医研修手帳に基づいて、現場で研修すべき学習レベルと内容が規定されている。

  1. 専門研修1年目
    ・基本的診断能力(コアコンピテンシー)、
    ・病理診断の基本的知識、技能、態度 (Basic/Skill level Ⅰ)
  2. 専門研修2年目
    ・基本的診断能力(コアコンピテンシー)、
    ・病理診断の基本的知識、技能、態度 (Advance-1/Skill level Ⅱ)
  3. 専門研修3年目
    ・基本的診断能力(コアコンピテンシー)、
    ・病理診断の基本的知識、技能、態度 (Advance-2/Skill level Ⅲ)
ⅲ医師としての倫理性、社会性など
  • 講習等を通じて、病理医としての倫理的責任、社会的責任をよく理解し、責任に応じた医療の実践のための方略を考え、実行することができることが要求される。
  • 具体的には、以下に掲げることを行動目標とする。
    1. 患者、遺族や医療関係者とのコミュニケーション能力を持つこと、
    2. 医師としての責務を自立的に果たし、信頼されること(プロフェッショナリズム)、
    3. 病理診断報告書の的確な記載ができること、
    4. 患者中心の医療を実践し、医の倫理・医療安全にも配慮すること、
    5. 診断現場から学ぶ技能と態度を習得すること、
    6. チーム医療の一員として行動すること、
    7. 学生や後進の医師の教育・指導を行うこと、さらに臨床検査技師の育成・教育、他科臨床医の生涯教育に積極的に関与すること、
    8. 病理業務の社会的貢献(がん検診・地域医療・予防医学の啓発活動)に積極的に関与すること。

経験目標

ⅰ経験すべき疾患・病態

参考資料:「専門医研修手帳」と専攻医マニュアル」 参照

ⅱ解剖症例

主執刀者として独立して実施できる剖検30例を経験し、当初2症例に関しては標本作製(組織の固定、切り出し、包埋、薄切、染色)も経験する。

ⅲその他細目

現行の受験資格要件(一般社団法人日本病理学会、病理診断に関わる研修についての細則第2項)に準拠する。

ⅳ地域医療の経験(病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療など)

地域医療に貢献すべく病理医不在の病院への出張診断(補助)、出張解剖(補助)、テレパソロジーによる迅速診断、標本運搬による診断業務等の経験を積むことが望ましい。

  • 人体病理学に関する学会発表、論文発表についての経験数が以下のように規定されてい る。人体病理学に関する論文、学会発表が3編以上。
    • 業績の3編すべてが学会発表の抄録のみは不可で、少なくとも1編がしかるべき雑誌あるいは”診断病理”等に投稿発表されたもので、少なくとも1編は申請者本人が筆頭であること。
    • 病理学会以外の学会あるいは地方会での発表抄録の場合は、申請者本人が筆頭であるものに限る。
    • 3編は内容に重複がないものに限る。
    • 原著論文は人体病理に関するものの他、人体材料を用いた実験的研究も可。