広島大学病院を基幹施設とする専門研修プログラムでは、連携施設群は広島市内では15分以内、近郊あるいは隣接市では30分前後の範囲に位置し、互いにコンパクトな位置関係にあり利便性が特徴の一つである。
基本的には全臓器の疾患と移植医療に関する検体を日常的に扱い、general pathologyを十分習得してどの分野でもレベルの高い能力を身につけた病理専門医を養成し、subspecialtyとしての細胞診専門医と研究対象あるいはライフワークとしての専門性を目指す。殊に広島県では大学病院は本学のみであり難病、稀少疾患が集まることが特徴である。
一人の専攻医は複数の指導医により指導・評価を受け、多彩な症例を経験することにより、専攻医の技能習得状況を正確に把握しながら、適切な症例数を偏りのない内容で提供することが可能であり、各専攻医を信頼に足る病理専門医に確実に育てることを目指している。
プログラムにおける到達目標
【 一般目標 】
- 『病理医は臨床医である』ことを自覚し、患者中心のチーム医療を構成する病理医の役割と責務を理解する。
- 病理組織学的診断あるいは細胞学的診断に基づく診療を実践・体験し真のEvidence Based Medicineを理解する。
- 様々な疾患が全臓器的な関連の中で発生して一臓器の異常が他臓器に大きな影響を及ぼすことを理解し、疾患を総合的かつ全身的に把握できる。
- 病理診断科の業務は細胞診を含めた病理診断や病理解剖のみならずCPC、臓器ごとの症例検討会、医療評価委員会など診断の質的向上や自己評価などの業務を分担し、各診療科、中央診療部門などと共に高度先進医療の重責を担うことを理解する。
【 行動目標 】
- 他の病理医や他科の医師、臨床検査技師をはじめとする他の医療従事者と適切なコミュニケーションをとり、時宜を得た情報交換やコンサルテーションができる。
- 摘出臓器標本のバイオハザードを理解し、感染の危険性を踏まえた臓器の取り扱い方法と他の医療従事者への感染防止対策を実践できる。
- 切除・摘出された全臓器標本を部位別、切除法別に確認し臓器標本を容れる各容器と照合するなど検体の取り違い防止のために最大の注意を払うことの重要性を理解し、それをプロトコールに従って実践できる。
- 摘出臓器標本を適切に展開・切割し必要に応じて固定用板に貼り付け、至適固定条件や検索方法に応じた固定方法を選択し固定液の管理を行うことができる。
- 摘出臓器標本の肉眼的観察、切り出し、検鏡、病理診断報告書の作成を行うことができる。
- 細胞診検体の適切な処理、検鏡、細胞検査士と合議し適切な推定診断を付けることができる。
- 病理解剖の手技を理解し、肉眼的観察、切り出し、検鏡、病理解剖診断報告書の作成を行うことができる。
- 診断の補助、確定のための様々な組織化学的染色、免疫組織化学的染色、電子顕微鏡的検索、分子生物学的検索の意義を理解し、必要に応じてこれらを行うことができる。
- 臓器ごとの症例検討会、細胞診検討会、剖検例検討会、CPCにおいて症例の呈示、解説ができる。